声を出す前の準備運動あれこれ ~ その5:鉛直方向下向き

当サイト 2016-11-19 『ウォーミングアップ冬仕様
Ameblo 2014-10-17『シャツとハンガーと私~』加筆再掲



昔は季節どうこうほとんど関係なかったが、今となっては寒さ厳しくなる折から意思に関係なく許可もなくオレの身体は硬直しぃの筋張が酷くなりぃのするようになった。更に11月は何故か決まってお約束のように1年で一番咽喉の調子が悪くなる月のようで、練習前のアップに時間を掛けるだけでなく、内容そのものにも工夫が必要になってくる。ラジオ体操するためのストレッチをするために、身体を動かしやすく温めるみたいな?<めんどくさっ!!


さて、早速アップの話。記事順番的には【その1】よりも前段階の話になろうとは思うが。

上半身と頸肩部周辺に余計な圧が掛からないように、とにかく脱力したまま声が出せるように、声の通り道をいつもより広めに整備しておかねばなるまい。ただでさえ声を出すまでに最低30分は掛かるようになったこの身体、まず「出す」ところまで通常メニューで約30分掛け、そこから冬仕様の追加アップ開始。
まぁ要は歌いながら徐々に慣らしていくわけなんだが、その歌い方がちょいとばかしオレ流。ハミングで、母音で、mp で歌うんだが、歌う姿勢が完全前屈。所謂鉛直方向下向き。腰にはちょぃと負担だが。

この姿勢で声を出すと、曲に因り言語に因り音程に因ってはたまに頭に血が上る。それでもそのまま如何に楽に声を出し続けられるか、その限界を超えるというか身体に刺激を与えて極限を覚えさせるというか。更に高音になるとハミングしづらくなってくるが、そこは我慢のよしこちゃん、「ん゛--」とちょっとばかし頑張って強めにハミングしてみよう。
この状態でしばし歌いつつ、たまに前後に軽く揺すってみたり肩をぶらぶらだら~んと揺らしてみたり、その揺れに腕もぶらぶらだら~んと為すがまま。完全に脱力していれば勝手に揺れるしそのうち止まる。ここで気をつけたいのは、頭(頸)を無理に前に反らさないこと。頭こそ重力に従って落とし、視線は足首付近を見るようにして頚椎・後頭部筋群に余計な力と負担を掛けないようにする。そのための前屈なんで。その為の鉛直方向下向きなんで。脊椎の1つ1つを意識しながら。こうすると不思議なくらい高音が出し易くなる。あまり長いことやっていると本気で腰もイワすし頭に血が上ってきて怪しい状態にもなるのでその前に止めるが、まぁそのくらいの時間掛ければいいだろうということで。

こうして「耳抜き」ならぬ「音抜き」をしておくと、いざ身体を起こして深呼吸した後、力がいい具合に抜けて息の通り道もまっすぐに整備されて余計なものも掃除されて、完全な頭声の花道が出来上がる。さすればそこを、朗々とゆっくりじっくりたっぷり歩いていけばいいだけ。


とは言え、その身体を起こした後の姿勢だが、高校の合唱だったか浪人時代の先生だったか、兎に角歌う時の姿勢についてこのように表現された。


…首の後ろを上に引っ張る意識して~(要するに頚椎)、実際に背伸びして引っ張るんじゃなくて、上に吸い上げられる意識しながら鼻から息吸って~、ハイ、そのまま上半身の力を抜いて腕だら~~ん。首と肩がハンガーになってると思って、そのまま身体はハンガーに掛かってるシャツだと思って~……


上半身は、身体ではなくシャツなんだそうな。頸から肩の骨格は、その服を掛けているハンガーなんだそうな。そしてまたしてもここで腕だら~~んが出てくる。

ハンガーに掛かっているシャツはただ引っ掛かっているだけでどこにも力は入ってないから風に吹かれたらひらひらするワケで(寧ろシャツが力入れてたらコワいが)、そのまま掛けていたら重力に従ってシャツのシワは伸びるワケで。

シャツだよオレシャツ……ハンガー入ってるよ胸頸部にハンガー……。だぁかぁらぁ、頸がズレてたら身体の落ち着きが悪いのか! ちゃんとハンガーに掛かってないやんか!! と妙に納得してみたりする。

またある声楽の先生曰く、「我々の肺は、腎臓の辺にあります

実際に肺が腎臓の辺りにあったら放射線技師はドン退くだろうが、イメージ的には確かにその通り。
歌=腹式呼吸といえば即が動くイメージだが(勿論腹も動くが)、実際には蒙古斑のあたり、筋肉で言うと広背筋。ある意味意識的(って言ってももう自分自身そんな意識は無いけど)。以前G-clef で発声講座をやった時、受講生にオレのベルトのバックルの辺りとGパンの後ポッケに手を挟んでもらって深呼吸したら、みんな「えぇぇぇぇぇっ?!」ってビックリしてポッケの方の手をイテテって振るワケ。横から見ると明らかに一瞬『反り腰』みたいになるんだが、それだけ広背筋が動いて骨盤が開くくらいに、腎臓辺りに肺がある。

歌う時、上半身が骨盤に乗っかってるなぁと感じる時は、いい声が難なく出せている。ちょうど仙椎を支点として、脊椎が軸で、肩腕がやじろべえ。仙椎(尾椎)に脊椎がストン…と摩擦・抵抗無く軽く乗っかっている感じで、そのまま鉛直方向上向きに伸びた先にハンガーたる肩甲骨・鎖骨辺りがぶら下がっていて、それにオレの上半身シャツが掛っていると。

だからもう、腕はだらんだらんだし上半身は腰を支点に左右にぶんぶん回せるし、それこそラヂオ体操第一出来るくらい。実際歌いながら出来る。


結局、ピアノも歌も、演奏の基本は骨盤である。腕から先は言ってしまえば関係ない。だってピアノ、腕で弾かないもんね。腰と腹で弾いてたもん。で以って、歌もピアノも足踏ん張って大地掴んでないと演奏出来たもんじゃない。

その足と骨盤をいわしているオレ(いわす=壊す、調子を悪くする)。


……アカンやんΣ(゚д゚;)


ぃやぃや、演奏時はちゃんと二足起立してるから。猿人立ちじゃなくてモデル立ち出来てるから。今のところ。

そう、モデル立ち。演奏になるとちゃんと出来るのに、なんで普段出来なくて、下腹筋やたらと強くて腰反っちゃうんだろうねぇ……やっぱり演奏は非日常やね♪ ってことで。




G-clef

このHPは、楽器本体である身体と声を通じて、線維筋痛症で末梢神経障害で脊椎側彎症で性同一性障害の声楽家@♪こーへー♪自身に起こる希少な症状と現状を、少しでも多くの人に知ってもらいたいという思いを込めた活動記録・告知サイトです。