童謡作曲中


次回のためというワケではないが、童謡を書いている。それも同時進行で何故か数曲。

当演奏会は回を重ねる毎にレクチャー度が増しに増しているが、自分でもここ数年やっと勉強することの意味や面白さを感じるようになったのかも知れない。作曲も昔から色んな分野でやってきたが(主にPOPS)、来年は Salon G-clef 10周年という事もあり、初心に立ち返って唱歌・童謡を改めて勉強し直している。その一環としてというか触発されてというかの作曲作業。


唱歌というのは、子供達に言葉の勉強を目的として作られた『尋常小学読本(とくほん)』を歌詞に用いているものも多く、音楽教育だけでなく国語教育の一環としての意味もあった。基本となったのは、東京山の手の中流階級のご婦人達が使う言葉であり、時代柄文語体が多かった。またまず言葉有りきであるため、イントネーションに忠実に旋律が当てはめられるものが多く、山田耕筰は特にその点に厳密であった。それ故、現代と当時のイントネーションの違いなども知ることが出来る、貴重な資料ともなっている(「赤とんぼ」はその良い一例)。


さて、小生大阪生まれの大阪育ち、関西至上主義を掲げる生粋のオオサカンである。演奏家として童謡唱歌の背景は百も承知であるが、やはり一抹の対抗心が芽生えるものである。なんもそなぃ江戸に従わんでもえぇやろ、別に大阪弁で歌うてみたかてえぇやないか、大阪弁の歌があってもえぇやないかと思い立ち、大阪弁のイントネーションによる習作を手掛ける事となった。まずは「ちんちん千鳥」。かの北原白秋の名作であるが、最初に作曲した成田為三作品が、こう言っては何だがあまりにもあまりであったため(そこは後に作曲した近衛氏が大いに攻撃の的にした点でもある)、自分も挑戦してみたくなった次第である。そのポイントは『子守唄』。勿論歌詞自体は北原氏の作品そのままを用いるが、それを大阪人が読んだらどなぃ発音するか、を考え出来るだけ忠実に、その上でちゃんと音楽として成立するように熟考してみたつもりである。
或いは「こいのぼり」。JASRACの陰謀による誤伝も含め、現在日本には3曲存在すると言われているが、その末席にすら及ばぬながら詩・曲から自作してみた。うちのお子達・後輩のお子達のことを考えながら童謡を自分で作ってみることで、先人の作品を写譜する如く、童謡・唱歌の新たな側面を理解・発見するに至るアプローチになることを期待しつつ、まずは今手掛けている数曲を簡素に、しかし奥深いものになるように練っているところである。


先日の演奏会でもCMしたように、年明けてすぐSalon G-clef 2019 は始動する。出来ればそこで発表してみたいとも思うし、機会があれば他でも歌っていきたい。何れにしろ今後も童謡・唱歌は歌い続けていきたいし、歌い継がれるべき日本の無形文化財である。




G-clef

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