一役買うインコ


最近特に意識している『小声唱法』。とは言えただ声量を落として歌えばいい話ではなく、そこに乗せるべきものはちゃんと全部乗せた上で、感情情報だだ洩れで溢れかえった末のffではなく、秘めて秘めて秘め切れなかったものが零れ落ちた末のpp。優しくて柔らかく包み込むような心地よい、それこそイケメンボイスの囁きのような。そんなppをいかにして作り出すか。


学生時代、常に師匠に言われたことにゃ「どんな風景でも、色でも形でもいいから、何かその曲から受けるイメージを頭の中に常に浮かべながら歌いなさい」。そこでグリーグの「Ich liebe dich」を歌った時、どんなイメージか言ってごらんと言われてすかさず「高島屋のローズちゃん!(^ω^)」。師匠、一瞬固まっておられたが、「まぁ君がそう思ったんならそれで歌ってごらん。そうか、今のはそのイメージで歌ったのか。良かったから、うん、まぁそれでもイイよ(;^ω^)」。確かに自分は人と違った方向から物を見てると言われて周囲をドン引きさせてはいたが、本人がそう感じたワケだから、それでいいと言われればそのイメージで歌わせてもらいますゎ(*´艸`*)。


さて本題に戻って、例えば今回演奏する信時潔の「北秋の」

ラストのppFis5への6度跳躍。その直前の、詩人が奥様の名前を織り込んで書いた歌詞「みつみつし 白く小さき 北秋の花」。この白く小さい花を愛おしく思い大切に包み込むようにして6度をふんわりと跳躍するには、勿論技術や準備は必要であるが、その上でそれ以前に大切なのはイメージ。ただ自分の場合、実際の白い小さな花をイメージしながら歌ってもわざとらしく演技的にしかならない。

そんな時の、これw↓↓

もう、可愛くて愛おしくてそれはそれは大事で、みつみつしく甘いにほひがして、ふんわり抱っこしてくんくんしたい。ふぁいさんをイメージするだけで、口角は上がるゎ笑筋は上がるゎテンションは上がるゎ。想いが溢れんばかりである。

更に優しい声で柔らかくしかもしっかり届けるには、おねむなもこ様💛↓↓

インコに傍で大きな声は禁物である。インコのお耳は極小ゆゑ。鼓膜も小っちゃくて薄いゆゑ。しかし当たる声であればどんなに小さくとも、こそばゅいのかもこ様は頭をふるふるする。特にこの子はあかんたれなので、離れていても同じ部屋でffで歌うとちょっとびびって細くなる。なので、怖がらせないように、しかももこに届くように歌おうとすれば、自然と優しく柔らかな発声になる。もこ様はそれはそれは可愛くて、毎日何回「なんでもこはそんなに可愛いの?(*´艸`*)」と聞かずにおれないくらいの至宝ぶりである。この子の事を思い浮かべただけで、もうにんまり顔の筋肉は緩むわけである。「七つの子」をもこをイメージしながら歌った所、「なんかカラスが可愛く思えてきた("▽"*) 」とお客様に言われたのも、もこ効果絶大のようである。

小さいものを扱う時のように、1音1音を大事に丁寧に。その繋がりが旋律になり、その纏まりが1曲になる。単語一つ一つを丁寧に。その繋がりが言葉となり、その繋がりが文章となり、その纏まりが一つの作品になる。かわいいおめめ、かわいいおくち、かわいい鼻の頭、かわいいほっぺ、かわいいふわふわうなじ、かわいいふくふくお腹、かわいい斑あんよ、綺麗なかわいいシルバーしっぽ。その全部がまとまって、結果かわいいもこが存在するのと同じで(え、ちょっと違う?)。

もこのすべすべお背(せな)をなでなでするように、音一つ一つを滑らかに撫でるように歌っていけば、跳躍もなんのその、寧ろ自然に出せている。出そうとするから、跳躍しようとするから外すわけで、そこに跳躍はなく、ただの抑揚の一部であり、作品は一部だけに注力してもバランスが取れず歪になるだけで、全体を通して均一性の取れた滑らかさ・柔らかさ(柔軟さ)が必要となる。それは表現だけでなく、楽器としての骨格的な要素としても然り。ここ2・3年で、症状が若干悪化してきているらしい今日この頃。本人的には毎日の事ゆゑあまり意識はないが、3年前と比べると確かに骨格的にも体力的にも落ちては来ている。年齢的にも当然ながら上がってきているので、昔と同じようには歌えないこと承知。サロンコンサート開始当初はちょうど体調が下降に向かい始めた頃でもあったのか、出さねば感満載であったが、都度都度変わる状態の中、最近また身体の新たな操縦の仕方を体得してきたというか、やっとここにきて『歌う』事の真髄に目覚め始めたというか。


今回の本番は、サロン3年目にして初の締め括り演奏会となる。2年続けて年末の本番は中止か延期であったので、今回は満を持しての演奏を皆さんにお聴かせ出来ればと、秘めた想いで臨む次第。身体は歪ながら、そこからどれだけ如何にして滑らかに声が出せるか、柔らかな音楽が創り出せるか、己の勝負どころである。


G-clef

このHPは、楽器本体である身体と声を通じて、線維筋痛症で末梢神経障害で脊椎側彎症で性同一性障害の声楽家@♪こーへー♪自身に起こる希少な症状と現状を、少しでも多くの人に知ってもらいたいという思いを込めた活動記録・告知サイトです。