声を出す前の準備運動あれこれ　～　その４：アイーンとアメマ

（当G-clef 2017/9/24 記事再掲）

自分はよく「顔が硬い」と言われる。表情がではなく、筋肉が。寧ろ表情は人より豊かでよく笑う。笑筋であったり口輪筋であったり眼輪筋であったり鼻翼挙筋であったり。俗に表情筋と言われるご一行様がこぞってお堅いメンツらしい。
「頭が硬い」ともよく言われる。確かに融通が利かないと昔からよく言われたが、応用力はある。「自分男子やねんけどなぁ～」などと思いながらも40年間女性社会で生活してきた対応能力・順応力は、恐らく普通より遥かに高いと思われる。頭が「固い」のではなく、「硬い」のは側頭筋である。

この両者がお硬いと、歌うには結構難がある。

自分は難儀な病気ゆゑ運動もままならず、準備がてらにストレッチは全身十分にしたいところではあるが、下手をするとそれだけで疲弊してしまったり攣ったりしてしまう難儀な身体、すなわち難体動物である。更には、数ヶ月前には自分に最適であった準備ルーチンがある時突然ハタと合わなくなったり、負荷が大きくなりすぎたり、と逆効果になることしばしば。アスリートがよくやる『ルーチン』を、自分は決め兼ねるのである。決して演奏に対していい加減なわけではなく、ルーチンワークを決められないのである。
その時その時、流れのままに。いつも通りがいいしいつも通りでいい。

まぁ人間ナマモノ・水物ですからな。

いかん、ちょっとばかり話が逸れた。

これまでも散々書いたが、スポーツ前に必ず準備運動するのは故障回避のためと誰しもご承知の通り。ならば声楽というスポーツ前にも、声帯の故障回避のため準備運動は必要不可欠。かと言って自分の場合は全身慣らし過ぎると逆に声が鳴らなくなる。かと言ってかと言って、何もなしでは本番という試合には臨めない。

さてこのジレンマを如何せん。

ここでやっと「アイーン」と「アメマ」のご登場である。なんのこっちゃさっぱりわやであろうが、要は顔面筋と声帯筋のストレッチ。

自分の場合、顔面筋もさることながら舌骨筋群もツッパリ軍団である。寝首を欠かれるほどにブイブイいわしている。欠伸しただけでも顎舌骨筋（顎～喉）がビシバシ攣って咽喉が絞まる。激痛である。

しかしこの舌骨筋群は頸周りを支配する斜角筋群と堅い同盟を交わしており、口の開け閉めや舌の動きを牛耳っている。こいつらを手玉に取れさえすれば、要は胸から上が解れれば、勝負あったと言える。

さて、突然ですが。アイーンしてみよう。

下前歯だけ突き出すのでなく（それはただのうけ口）、顎全体でガッツリと。ちゃんと志村師匠のように。或いは、岩崎宏美の『シンデレラ・ハネムーン』を真似するコロッケ氏のように。立派にアイーン出来たら、そのまま下顎を左右にずらしてみる。美川賢一の真似をするコロッケのように。これをゆっくりゆっくり数往復する。

これだけでもうかなり、顎舌骨筋と斜角筋のストレッチは完璧である。解れた感と若干のだるさが顎頸にあれば良し。

バカ殿・コロッケ両氏、やはり最強である＜視点がズレとる

次に。

寛平ちゃんに習い、盛大な「ア～メ～マ～」をご披露願う。
軽い「アーメーマー」ではない。渾身の「ア～～～ンムェ～～～～ンムァ～～～～」である。因みに杖の準備は不要。振り回さなくて結構なので、狭い部屋でも可である。
ただのギャグと侮るなかれ。本気の「アメマ」、それはそれは顔の筋肉を使いまくる。同時に胸鎖乳突筋も斜角筋も使われる。

アスリートの顔も持つ寛平ちゃん、流石である＜関係ない

さてこのアメマで発声練習してみよう。ぃやこれ本気で。真面目な話、なかなかに使える。勿論、顔面全身脱力してではあるが、是非とも全顔使って盛大にやってみて欲しい。あくまで準備体操だから。本歌唱じゃないから。自由にやればよい。

by ♪こーへー♪＠2017

余談だが、自分の場合、左右のアイーンにかなりの差があった。

【左アイーン】

【右アイーン】

何かにつけて右は不調である。恐らく右に引く筋力が弱いか、既に筋張が強くて自由度に欠けているかであろう。張っている頸部筋もかなり状態が違う（右は胸鎖乳突筋・斜角筋がほぼ動かせていない）。

体幹機能障害で前屈伸がなかなか出来ないこの身であるが、せめて学校の正門に立つ偉人の胸像部分だけでもしっかり解れれば、歌うには比較的支障ない身体が得られる。

師匠、いいね(o^-')b ＜だから違ぅ

そういえば同じような事、既に著書に書いてたな＜ボケた訳ではない

Amazonにて発売中。と、さりげなく宣伝して去る。