はなび ~音で愉しむ世界の職人技~
G-clef Presents mov.39 : ♪非日常空間♪ Salon G-clef Concert 第15弾
2018/8/19(日) 13:30~15:30
仕込みは万端?
予てよりの頸部の過筋張が最後まで残り、前々日から最後の頼みの綱とばかりに湿布を貼って過ごした。後はスタミナということで食事と睡眠を出来る限りしっかり摂り、気休めながら栄養ドリンクも飲み、土曜は必要最低限の事以外はせず、ほぼ1日子供たちと一緒にだらだら過ごす。勿論『小声唱法』の確認とイメトレは欠かさなかったが、鍼と矯正の効果か、これまでよりはだいぶ楽に声が出せるようになってきた。終に当日の朝は High-B まで。久々の B である。とは言えアップで出し過ぎて本番までに過筋張を起こしては元も子もない。そこは素人ではないのですっと身を引き、やはり身体を休めることに重点を置き、これまでの本番前としては最短最小限の練習に留めた。結果それが今回に限っては正解だったようで、歌いながらアップする策で何とか乗り切った。
流石に歌い始めは身体も硬くコントロールし辛かったが、歌い進むにつれて気分も楽になり、ここ暫くの不調からすれば、最終的には上手く乗り切れたのではないか。
所変われば品変わる
今回はいつもと違った配置で歌った。というのも兎に角毎夏、クーラーを掛けてもステージ側には一切恩恵がなく、ビショビショのフラフラになって終わるので、今回は勝手ながら自分に一番クーラーが当たる場所にステージ配置させてもらった。すると客席との距離や自分と対面の壁との距離がいつもよりかなり近く、失敗したかなと思ったが、後からお客様の反応ではピアノの響き方や聴こえ方もいつもより良かったらしい。
普段は部屋を縦に使い、客席後ろのもう1部屋(キッチン)をそのまま開放して歌っていたが、今回は部屋を横に使い、キッチンを仕切り、客席後ろ(自分から約2.2m)に壁という一見圧迫感半端ない配置になった(結果的に部屋は狭くなった)。恐らく自分の声が客席真後ろの壁に反射し、前からと後ろからの声に挟まれサラウンド感が増したように客席には聴こえたのではないか。ピアノとの距離も近く、またいつもはピアニストの真後ろで歌っていたが、今回は横並びになったのでピアニストも間合いが取り易かったらしい。真後ろでも鏡を見ながら、或いはオレのブレスを聞きながら上手く合わせてくれるピアニストなので、今回も気兼ねも心配もなく自由に集中して歌わせてもらった。それも筋張に囚われず歌えた恩恵のひとつである。
とは言え、流石に客席も近すぎるし限界1列で横に広がるので、少人数限定の配置ではあるか。MC中の眼のやり所にもちょっと困った(何せ目の前に美人がずらっと並ぶので(^^;))。
お客様が作る演奏会
当サロンのお客様はそれこそ少数精鋭である。拙いMCに耳を傾け熱心にメモを取られる姿、こちらの投げたボールを正面からしっかりキャッチされる反応に、毎回勉強して良かったと救われる。自己満足で終わっていないということが目の前で確認出来る。今回は、以前アンケートで何度か挙がったご意見を反映した演奏形式を採り、そこに年表も併せて鑑賞していただいた。ただ歌うだけ聴くだけの演奏会も、それはそれでいいかも知れない。しかし、折角お客様が目の前で反応してくださるサロンコンサート。皆さんの「へぇ~~」「ほぉ~~」を、こちらとしても見たいワケである。今回の年表にはまず「ぅわぁ~~♪」があってちょっとどや顔(^▽^)v ぃや、作って本当に良かった。貼るのは苦労したが。先日は風が強すぎて、仕事から帰ったら見事に剥がれてくったりした状態で落ちていたので、少々折れ目が付いたり継ぎ目がズレたり用紙がヨレたりして貼り直すのに難儀したが、内容には影響ないないよ~(^^;)
「シューベルトと遠山の金さんが同時代で~」なんていう話で盛り上がり、ちょっと齧った日本史情報(とは言えこれまたトリビア)もご紹介出来、また違った側面から作品を愉しんでいただけたようで、お客様からも実際に満足との感想をいただいた。
ナマモノを扱う水商売?
今回は自身に於いてもちょっとした試練だったかと思う。何より声に直結する不具合で直前まで(実際には演奏中も)どうなることか解らないという事態は確かに以前もあったろうが、今回の症状はそれ自体が自身にとっても初めての悪化であった為、そろそろもうアカンかなとまで思った。がやはりやってみたら拙くはあるがまだ歌える。まだ引退を考えるには時期尚早のようである。これを最後と覚悟した次の日に朗々と歌えたりした暁にゃ後悔散々であろう。ワケの解らん身体であるが、翻弄されつつもその操縦方法をこれまたひとつ会得したという感じの本番であった。
毎回が臨床実験であるが、これもナマモノ楽器である声楽の、ある意味醍醐味かも知れんと思う今日この頃。何より聴いてくださるお客様あっての水商売、まるきり先物取引である。
歌える歌えぬ以前に、まだまだ勉強したいと思えている段階では辞めてはいかんのであろうと考えつつ、また次回に向けて自分のケツに火を点ける。
拙い演奏ながら聴いてくださった皆様、本当にありがとうございました。
唱歌:----------
♪我は海の子
曲:不詳
詩:宮原晃一郎
♪蟲のこゑ
曲:不詳
詩:不詳
♪ふじの山
曲:不詳
詩:巌谷小波
♪海
曲:不詳
詩:不詳
♪海(うみ)
曲:井上武士
詩:林柳波
♪月の沙漠
曲:佐々木すぐる
詩:加藤まさを
♪あの町この町
曲:中山晋平
詩:野口雨情
♪はなび
曲:下総皖一
詩:井上赳
日本歌曲:----------
♪椰子の実
曲:大中寅二
詩:島崎藤村
♪AIYANの歌~『AIYANの歌』第3曲
曲:山田耕筰
詩:北原白秋
♪さより~『六つの子供の歌』
曲:團伊玖磨
詩:北原白秋
♪九十九里浜
曲:平井康三郎
詩:北見志保子
西洋歌曲:----------
♪Amor, ch'attendi?
愛の神よ、何を待っているのか
曲:カッチーニ[編:髙岡康平]
詩:不詳
♪Piacer d'amor
愛の歓びは
曲:マルティーニ
詩:クラリス
♪Nacht und Träume
夜と夢
曲:シューベルト
詩:マテウス・フォン・コリン
♪Венецианская Ночь - Фантазия
ヴェネチアの夜(ファンタジー)
曲:グリンカ
詩:コズローフ
♪Жаворонок
雲雀
曲:グリンカ
詩:クーコリニク
♪Volksliedchen
小さな民謡
曲:シューマン
詩:リュッケルト
♪Sogno
夢
曲:トスティ
詩:ステッケッティ
♪Die Zeitlose
イヌサフラン
曲:リヒャルト・シュトラウス
詩:ヘルマン・フォン・ギルム
♪Октава
八行詩
曲:リムスキィ=コルサコフ
詩:マイコフ
アンコール:----------
♪大きな古時計 ~Grandfather's Clock
曲:Henry Work [編:髙岡康平]
訳詩:保富康午
ピアニスト:島田 稲子
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