『共演者』

昨日、楽譜の最終校正をしていて、ふと、学生時代(2回生頃?)に師匠に言われた言葉を思い出した。

「ピアニストは共演者です。一緒に音楽を作っていくんだから、伴奏者って呼んではいけません。失礼でしょ? ”だから”、いいピアニストを選ばないとダメです」

以来、自分はピアニストを伴奏者と呼んだことはない。「伴奏者は誰ですか?」と聞かれたら必ず「伴奏者はいません、共演者がいます」と言うようになった。

器楽曲ではパート譜があるらしいが、声楽曲にはない。器楽と声楽のアンサンブルでも、パート譜は器楽のみで声楽とピアノはほぼ必ず同一譜面に書かれている。歌は必ずと言っていいほどピアノをもう一つの声部として頼りにしている。過去に1曲だけ器楽アンサンブル(確かオーボエ×歌×ピアノ)で、歌にもピアノにもパート譜がついていたものがあったが(外国の楽譜)、流石に自分もピアニストもパート譜では演奏出来ず結局スコアを見て歌った。

コーラスにもパート譜はない。どんなに声部が多くても(最多経験8声部w)、全パートが必ず同一譜面上にあり、最下段に楽器(多くはピアノ)が入る。ページめくり大変だったがね(;^_^A。高校の部活(混声合唱)でも、「コーラスは全部の声部で一つの和音です。それぞれのパートで解離和音になってるんです」と言われていた。自分のパートが長らく休符であっても、他のパートを聴き頭で一緒に歌っていた。寧ろそうしないと次の入りが解らないどころか、テンションが繋がらなくなる。他のパートも自分のパート同様大事なわけで、それを別々にするなんぞ考えた事も経験した事もない。

そう考えると、器楽奏者ってめちゃくちゃ器用やなと思う。勿論慣れもあろうが、よぉ他の旋律の楽譜ないのに長休止の後に入れるなぁと。十何小節の休符とか、途中で分らんようになる自信満々ですゎ( ̄▽ ̄;)。まぁオケ譜の場合は段が多すぎて迷子になる可能性というのも考慮されてのパート譜なのかも知れんが、声楽×ピアノは全部でほぼ3段ですからな。ピアニストも、声部も見ながら弾きはりますからな。

閑話休題、そんな自分のピアニストは、歴代ホントにいい共演者が多くて感謝である。

自分の息を読み取りながら弾いてくれる人、本番中に”仕掛け”たら応戦してくれる人、落ちてもうまく拾ってくれる人、声の小さな小生が無理せずとも歌える音量で、遜色なく弾いてくれる人。やはり自身「共演者」と思っているピアニストは、総じて歌いやすい演奏をしてくれる。「伴奏者」と思って弾く人は、まず声部全く聴いてませんもんねぇ( ̄▽ ̄メ)<過去に一人だけいた。あなたと次はありませんと言うて帰した。

もうすぐ本番で『今が一番落ち着かないルーチン』にどっぷりはまり込んでいる。今回は一蓮托生の『共演者』なので、ちょっくらドンとその胸を借りたいと思う。

学生時代からドンと借りてたからね(*´艸`*)。借りっぱなしww


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