2009.05.31 15:00■蝉の記憶 ~夏の終わり side-B畑の広がるど真ん中に無遠慮に伸びる、1本のアスファルト道路。いつまでも続く軽い傾斜が、僕に負担を強いる。前方に逃げ水を見つけ、僕たちの足取りは更に重くなった。 立ち止まり深呼吸する。2人分のカバンを持って、行き過ぎた康平が振り返りざま声を掛ける。そんな事を何度か繰り返し、僕たちはあの場所に差し掛かった。 「あそこだったね」 「あ?」 「ほ...